活動の目的は、物語の発信です。
普段、子ども達や若い子育て世代のお父さん、お母さん方と接する中で違和感を抱くことの一つに、20~30年前なら誰しもが知っているような物語や童謡を知らないということがあります。日本人共有の財産だと思っていた物が、ある世代以上の大人だけの物になっているのです。
その分、動画を見たり音楽を聴いたりして、多くの新しい物を取り入れているから良いように思われますが、自分から得たいと思うものには偏りがあり、内容が短絡的であったり、古いものが遠ざけられたりする傾向があります。
また図書館に一度も行ったことがないという人に出会うことがあります。よく利用する者からすると考えにくいことですが、興味がないということの現実に気づかされます。せっかく行った図書館も、学習の場所として利用されるだけで、蔵書を見ることなく帰ってくる子ども達もたくさんいます。
物語や童謡の中には、日本人だから分かる情景の美しさや、恩や情けといった人のあたたかさ、道徳的な価値観が含まれています。親から子へ継承されてきた大切な文化的財産が受け継がれにくくなった今、それを伝えていく役割が必要なように思われます。
そこで、まずはネットで配信という方法で、物語を発信していきたいと思っています。ちょっとした隙間時間に、知らなかった物語に出会うきっかけになるかもしれないし、活字を読むことに抵抗のある子ども達にとって物語を知る入口になればと願っています。
機会があれば、ネットだけでなく、子ども達や地域の方々と直接ふれあえる場所で、読み聞かせや朗読劇をすることができたらいいなと思っています。

「声劇Caravanいちのみや」は、一宮市市民会館等指定管理者JNP一宮パートナーズが地域交流事業として制作した「がちゃまん!」というラジオドラマ(2022年2月、FMいちのみやで放送)に声優として出演したメンバーが、「がちゃまん!」を再び有観客で上演したいという思いから結成されました。はじめは、のこぎり屋根での公演を目指し、公演先を探していましたが、大垣市上石津町より依頼を受け、2022年12月に上石津町一之瀬グリーンプラザでの上演が実現しました。
メンバーの中には、「がちゃまん!」大垣公演の際、地域の方に喜んでいただけるようにと「おあん物語」という大垣の物語の脚本を書いた者もいます。
また市内の図書館や小学校で読み聞かせをしている者、一宮市社会福祉協議会にボランティア登録し、地域のふれあいサロンや高齢者施設、児童館、児童クラブ等を訪問している者もいて、地域社会に貢献しています。
「声劇Caravanいちのみや」の原点が「がちゃまん!」という一宮の物語の朗読劇であったことから、この朗読劇を一宮で実施し、尾州織物の良さを広く伝えていきたいという思いと、また尾州織物を文化の面から応援していきたいという思いはあります。
また「がちゃまん!」に限らず、朗読劇を上演し、その楽しさにふれていただきたいという思いもあります。
ただ、昨年の公演から新年度を経て、進学や就職のため一宮を離れたメンバーが複数名おり、すぐの実施が難しい状況にあります。
一宮で「がちゃまん!」をという思いを残しつつ、今できることを考えた時、良い物語を発信したいという思いはメンバーに共通してあるため、離れた場所にいながらにして実施できるネット配信という形で、まずは物語を発信していきたいと考えています。
条件が整えば、ネットだけでなく、子ども達や地域の方々と直接ふれあえる場所で、読み聞かせや朗読劇を実施し、物語の楽しさや、一宮の良さを伝えていく活動ができたらと思っています。

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